生成AI入門コース
~第1話 ChatGPTから始まった生成AIブーム~
プロローグでは、まるやまマートの社長・丸山祐介から、ECサイトの改善と来年の「子育て家庭応援フェア」に向けた準備を頼まれた神谷悠馬が、大学の先輩である西園寺遥に相談した。西園寺は「いきなりECを直そうとしなくていい。まずは生成AIやDXを順番に整理しましょう」と提案し、学びのロードマップを示した。今日からの数週間は、その第一歩となる「生成AIを知る」のパートに入る。
学びのスタート

プロローグで西園寺と話してから数日後の夜。神谷は仕事帰りに、駅近くの小さなカフェへ向かった。今夜から、西園寺に生成AIの基本を教えてもらうことになっている。
向かいの席に西園寺が座ると、神谷は少しだけ緊張が和らいだ。大学時代の先輩とはいえ、仕事として教えてもらう場なので、気を引き締めたい気持ちもある。



神谷はノートを開いた。社長から言われた「生成AI」という言葉。ニュースでは毎日のように目にするのに、自分の言葉で説明しようとすると何も出てこない。それが正直なところだった。
ChatGPTの衝撃





西園寺は説明を続けた。ChatGPTが登場する以前にも、AIは世の中に存在していた。画像認識、音声認識、機械翻訳、レコメンド機能など、さまざまな分野で使われていた。しかし、それらの多くは専門家やエンジニアが開発・運用するものであり、一般のビジネスパーソンが日常的に触れる場面は限られていた。





生成AIとは何か



西園寺は、生成AIの定義を分かりやすく整理した。
生成AIとは、新しいコンテンツを作り出すことができるAIの総称だ。「生成」という言葉が示すとおり、文章、画像、音声、動画、プログラムのコードなど、さまざまな種類のコンテンツをゼロから生み出すことができる。
従来のAIが「分類する」「予測する」「検出する」といったタスクを中心にしていたのに対し、生成AIは「新しく作る」という点で性質が異なる。たとえば、画像認識AIは「この写真に映っているのは犬か猫か」を当てるのが仕事だったが、画像生成AIは「子犬が雪原で走っている絵」と頼めば、その場で絵を描いてくれる。





広がるAIサービス

西園寺は続けて、ChatGPTの登場後にさまざまな生成AIサービスが生まれたことを説明した。



神谷はノートにメモを取りながら、頭の中を整理していた。生成AIは一つのサービスの名前ではなく、「新しいコンテンツを作るAI」というカテゴリ全体を指す言葉だ。ChatGPTはそのなかで最も早く広まったサービスであり、きっかけだった。



マルチモーダルAIの広がり





西園寺はノートにテキスト・画像・音声・動画の4つを書き、それぞれにまるやまマートでの活用例を添えた。









神谷はノートに、中央から4方向へ伸びる小さな放射状の図を描き、それぞれの先に「テキスト=要約・下書き」「画像=POP・商品イメージ」「音声=議事録・読み上げ」「動画=短尺PR・字幕」と書き込んだ。生成AIという大きな言葉の中に、4つの入り口があると思うと、自分が次に何を試せばいいのかが、少し具体的になった気がした。
神谷はそのまま、来年の「子育て家庭応援フェア」の準備に重ねてみた。フェアの商品紹介文や保護者向けのお知らせ文はテキストから、店頭POPは画像から——そんなふうに、4つの入り口のどこから手をつけるかが、ぼんやりと見えてきた。
📌 覚えるポイント
- ChatGPTは2022年11月に公開され、AIが専門家の道具から一般の人が会話で使える道具に変わるきっかけになった
- 生成AIとは、文章・画像・音声・動画・コードなど新しいコンテンツを作り出すAIの総称である
- ChatGPTは生成AIの代表的なサービスの一つであり、生成AI=ChatGPTではない
- 文章を生成するAIの多くはLLM(大規模言語モデル)という技術がベースになっている
- マルチモーダルAIは、テキスト・画像・音声・動画など複数の種類の情報をまとめて扱えるAIのこと
- ChatGPTの後に、GoogleのGemini、AnthropicのClaudeなど、さまざまな生成AIサービスが登場した
📖 覚える用語
- 生成AI(Generative AI)
- 文章、画像、音声、動画、コードなど、新しいコンテンツを作り出すことができるAIの総称。従来のAIが分類や予測を得意としたのに対し、生成AIは「新しく作る」ことが特徴。
- ChatGPT
- OpenAI社が2022年11月に公開した対話型の生成AIサービス。自然な日本語で質問や指示を入力すると、文章で回答を生成する。生成AIブームの火付け役となった。
- LLM(大規模言語モデル)
- Large Language Modelの略。膨大なテキストデータを学習し、人間のような自然な言葉を理解・生成できるAIモデル。ChatGPT、Gemini、Claudeなどの基盤技術。
- 自然言語
- 日本語や英語のように、人間が日常的に使っている言葉のこと。プログラミング言語と対比して使われることが多い。生成AIは自然言語で指示できる点が特徴。
- マルチモーダルAI
- テキスト・画像・音声・動画など、複数の種類(モード)の情報を入出力できるAIの総称。画像を見せて文章で説明させる、文章から画像を作る、音声を文字起こしして要約するなど、モードをまたいだ処理ができる点が特徴。
- Gemini
- Googleが開発・提供する対話型の生成AIサービス。文章生成のほか画像や音声など複数形式に対応する。詳しい特徴は第5話で比較する。
- Claude
- Anthropic社が開発・提供する対話型の生成AIサービス。長文の読解・要約や安全性重視の設計が特徴。詳しい特徴は第5話で比較する。
- 今日学んだこと
- 生成AIとは新しいコンテンツを作るAIの総称で、ChatGPTはその代表的なサービス。ChatGPTの登場で、AIが専門家だけの道具から、誰でも使える身近な道具に変わった。生成AIはテキストだけでなく画像・音声・動画も扱える方向に広がっている(マルチモーダルAI)。
- まるやまマートとの関係
- 生成AIには文章、画像、音声、動画、コードなど複数の種類がある。まるやまマートでは、まずテキストの活用(商品説明文の下書きやお知らせ要約)から始め、画像(POP下書き)、音声(議事録)、動画(短尺PR)へ段階的に広げるのが現実的。
- 気をつけること
- 生成AI=ChatGPTではない。複数のサービスがあり、それぞれ特徴が異なる。マルチモーダル化が進んでいるが、全部を一気に導入せず、まず使い慣れた領域から1つずつ。次回はLLMの仕組みを詳しく学ぶ予定。
